アキレス腱断裂のリハビリ・家で出来る事

アキレス腱の損傷

急に走った方、飛び降りた方、激しい運動をした方に起こりやすいのが「アキレス腱の損傷・断裂」かなりの痛みが走り、動けなくなることもあります。

ブチっと大きな音がするぐらい、断裂した際は、自分でも分かる程。

断裂してしまうと、手術をする人も多く、その後のリハビリが大事になります。思うように歩けなくなりますので、仕事への影響がでます。早めの回復を求める人も多いと思いますので、このページでは、自分でもできるリハビリの方法をご紹介します。

まずは、アキレス腱断裂についての概要、一般的な治療法を知っていただき、症状、期間に合わせたリハビリを行いましょう。

また、山梨県甲府市にある整骨院信玄では、アキレス腱断裂に対しての施術(健康保険取り扱い)もございます。お気軽にご相談下さい。

■アキレス腱の断裂とは?

下肢の腱断裂で代表的な疾患としてアキレス腱断裂があげられる。

アキレス腱は人体のなかで最も太い腱であるが、足部の外傷性腱断裂のなかではアキレス腱断裂が最も頻度が高い。20歳代後半から退行性変性が見られる 30歳代、40歳代中高年層に発生している。

■新鮮アキレス腱断裂の治療法とは

□保存療法と手術療法が主です。

・保存療法、手術療法の中間的な方法として経皮的縫合法

・陳旧性アキレス腱断裂に対しては手術療法が絶対的適応となる。ほとんどが手術療法となるが実際に開いてみないと完全断裂か不完全かが判断できないためである。

1.発生機転

 瞬間的で強力な腓腹筋を介した過大な張力、非協調的な作用力、内因的要素が挙げられる。

下腿三頭筋(※ふくらはぎの筋肉です)の不協同性や、下腿三頭筋が緊張しているときに足関節に急激な背屈力(つま先を持ち上げる動作)が加わると断裂をおこしやすい。

 他動による底背屈、下腿三頭筋の収縮、膝伸展+背屈で再断裂が起こることもある。

・断裂の素因

使いすぎによる腫脹、血行障害、壊死や加齢変性など

2.症状

・アキレス腱を何かで殴打されたような衝撃

  • 断裂音
  • つま先立ちは不能
  • べた足歩行
  • 筋腱移行部では不全断裂がみられる
  • 腱部ではほとんど完全断裂
  • 断裂部位は腫骨付着部より 2~6cm中枢部 のアキレス腱狭小部が90% 以上。

=理由として、アキレス腱への血液供給は腿間膜を通って行われ腫骨の上2~6cmの部分は最も血液の供給量が少ないためと考えられる。

  • 次いで筋腱移行部が多い
  • 腫骨の付着部における断裂は稀。腫骨の剥離骨折を伴うことが多い。

・受傷直後は、アキレス腱部の腫脹、圧痛、 陥凹、他動的な背屈の増大が認められる。

・受傷後 2,3 日後では腫骨部に内出血が認められる。

3.治療

a)新鮮例に対する治療法の選択

・完全な治癒条件:

腱の治癒のみならず、腱の張力を発生させるだけの腓腹筋の筋力が回復していることが必要である。

・アキレス腿断裂の部位が一定しない理由:

腱の筋全長に対する比率にかなりの個人差が 存在していることがある。アキレス腱長が短い腓腹筋と長い腓腹筋の腱断裂後の短縮は、腱長の短い腓腹筋で強くなることが考えられる。

⇒腱長の短い人が断裂すると両断端の離開が強くなることを意味している。

また、アキレス腱の断端の形状は、腱が完全に断裂して、断端が刷毛状になっていたり、腱線維がかなり引き伸ばされてほうき状になっていたり、部分断裂で一部の線維が伸ばされたまま連続性を保っているなどさまざまである。

理想的な治療は、アキレス健の断端の状況、アキレス腱と腓腹筋の比率、腓腹筋の発達程度を考慮して、断端と断端をできるだけ本来の長さに保つように治療する。

b)保存療法

・保存療法の利点

  • 手術による合併症(感染,皮膚壊死など)がない
  • 入院の必要がない

・保存療法の欠点

  • 治療期聞が長い
  • 再断裂が多い
  • 可動域の増加、減少をきたしやすい
  • スポーツ選手に適応されにくい

などが指摘されているが、最近では良好な成績を示している報告も多い。

固定肢位:

自然下垂位と最大底屈位固定。一般的に自然下垂位で断裂部が接近し陥凹が消失しなければ底屈位を強める方法がとられる。

しかしアキレス腱長が短い患者、踵骨付着部に近い部分での断裂、アキレス腱が非常に細い患者では保存療法に限界がある。

ギプスあるいは装具固定:

期間の経過とともに足関節の底屈角度を浅くしていく。装着期間は約 6~8 週間で、それ以降は装具装着の全荷重歩行を約 4 週間行う。両足でのつま先立ち、患側でのつま先立ちなど徐々に運動負荷を上げていき、スポーツ復帰は約 6~7 か月後である 。

c)手術療法

1)縫合法

・津下 ( つげ ) 変法

・SilfversIdoldらが発案した cross-stitch 法

・Bunnell法

・Lange法

・Kirchmyar法

・皮下縫合法

2)腱縫合術後の理学療法

アキレス腱縫合後のリハビリテーションの目的

  • 受傷前の日常生活
  • スポーツ活動に早期に復帰させること

が最大目標であり

  • 縫合腱の癒着防止
  • 患肢足関節可動域の改善 (足関節の尖足拘縮の改善)
  • 下腿三頭筋を中心とした患肢の筋萎縮の改善と筋力化

の3点に集約される。

4)術後リハビリテーションに 必要な評価

筋力

底屈の最大筋力の測定に関しては、術後8~12週目以降の評価が望ましい。

5)リスク管理

 縫合腱が十分癒合する前に過度なストレス(特に伸 張ストレス)を与えないこと。切断した腱の不完全な連続性から、完全な連続性になる時期は4~6週目といわれている。腱に適度な張力を加えることにより、早期に新生組織の回復が期待できるといわれている。

 術後4週目くらいまではアキレス腱に過度の伸張ストレスが加わる負荷は避けたほうが賢明。

 術後8週目くらいまでは、痛みの有無、Thompson-squeeze test を 1週間ごとに行い、アキレス腱の状態、腓腹筋の状態を確認することが重要。

6)対処法:

 ①伸張運動:下腿三頭筋を中心に行う

 ②筋力強化:下腿三頭筋を中心に行う

 ③身体全体の協調訓練:

バランスボードなどを使用する

④テーピング:

足部を中間位に置き下腿三頭筋に伸張ストレスをかけないようにする

⑤足底挿板療法:

踵を挙上させることでアキレス腱の伸張ストレスを減じる事ができる踵骨下関節を中間位に保持させるために、踵骨載距突起部と立方骨部を持ち上げ、踵を包み込むようにする

  • その他:

筋力が回復するまでは、シューズはハイカットなどの安定性のあるものを使用させる

自分でも意識すべき、アキレス腱断裂に対するケアを紹介

【アスレチックリハビリテーションの実際】

症状を十分に確認しながら、リハビリテーションを段階的に進めていく。段階的トレーニング法は、アスレチックリハビリテーションでのトレーニングを回復の状況に応じて4つのステップに区分けして実施していく。

○第1段階:可動性トレーニング

この時期のトレーニングの目標としては関節の拘縮を除き、筋の萎縮を解消し、筋力の強化と筋協調性の発展を促していくことである。また、局所のみでなく、全身的にも全身運動性の改善と心肺機能の強化が目標となる。

○第2段階:安定性トレーニング

筋の持久力と筋力を増し、関節の運動性と協調性を図ることを目標とする。トレーニング法としては疼痛や腫脹のない範囲で、アイソメトリック、アイソキネティックなどの各種トレーニングを入れていく。

○第3段階:機能性トレーニング

筋力のみでなく筋の運動性、巧緻性を改善し、神経筋反応時間の短縮を目指すとともに、種目ごとに専門的な動きや練習を入れていく。トレーニング方法としては、各種トレーニングマシーンでのトレーニングや複合的トレーニング、PNFトレーニングを入れていく。

○第4段階:筋力強化トレーニング

筋力のなかでもスピードの改善、反応時間の短縮、ジャンプ力の改善にとりくむ。トレーニング法として、第2、第3段階のトレーニングのほか、スピードトレーニングやプライオメトリックトレーニング、場面場面を想定してのシミュレーショントレーニングなどがある。また、この時期はチームに戻って、チーム内での専門的な練習にも積極的に参加していく必要がある。

日常の予防とは(コンディショニング)

アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎のアスレチックリハビリテーションは、当然傷害を負った選手が行うメニューであるが、本来は、日頃のトレーニングの中で、けがをしないためのからだのケアを行うことが肝心である。また、けがを予防することは、スポーツの中で、実力を発揮するためには必須の条件となる。アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎の予防方法は、4ステップ目のトレーニング内容が非常に参考になるが、次のような予防方法が考えられている。

○日頃の温熱療法

日頃の練習の前に、ホットパックや、バイブラバスを利用し下腿部、アキレス腱部を温めてからトレーニングを行い、トレーニング後に下腿部を15分間ほどアイスマッサージを行う。また、入浴後には、下腿部、足底部のマッサージを10分間ほど行い、アキレス腱周囲の筋群の柔軟性を維持しておく。

○装具の使用

ソールウエッジを用いてレッグヒールアライメントの改善を図る。回内足など足のアーチが落ち込んでいる場合などは、足底板などの装具をシューズの中にいれて足部のクッション性を高め、足底のアライメントを調整する。また、踵にパッドなどを装着し、アキレス腱への負担を軽減させる。

○テーピング

テーピングは、装具などと同様に下腿部・足部のアライメントの調整やアキレス腱および周囲の結合組織の補強に役立つので、アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎の予防、疼痛の軽減には効果的である。より有効な方法としては、アキレス腱のテーピングと踵部へのパッドの装着および、ウエッジによるレッグヒールアライメントの調整を併用するとよい。

○シューズ

シューズの形状によっては、アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎を誘発しかねないので慎重に選ぶ必要がある。シューズを選ぶときには、ソールとヒールがしっかりしていて、足のボールの部分に柔軟性のあるものがよい。とくに、ヒールの横幅が広く側方への安定性を確保しかつ、ヒール部分がトウ部分より1cm以上高いものを使用するのが好ましい。

○サーフェス

練習や、試合で使用する、グランドあるいは、体育館の床などもアキレス腱炎・アキレス腱周囲炎の発症に関係があるので気をつける必要がある。とくに、人工芝や、全天候の陸上競技場、ロードなどは、非常に硬いので、ソールの厚いシューズにしたり、練習時間を短くしたりするなどの工夫が必要である。また、クロスカントリーや野外走などの不整地でのウォーキング、ランニングでは、症状をより悪化させる可能性があるので完治していない場合は、不整地でのトレーニングは、実施すべきではない。

○バランスのよいトレーニング

アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎の原因に足関節周囲の筋群の張力が関与しているために、これらの筋群のストレッチングと屈筋伸筋など拮抗筋の筋力バランスに着目した筋力トレーニングが重要である。

【アスレチックリハビリテーションの具体的方法】

以上のアスレチックリハビリテーションの順序にしたがってアキレス腱炎・アキレス腱周囲炎のアスレチックリハビリテーションの具体的方法について述べる。

○身体的評価

1)形態計測-周囲計(下腿最大・最小囲)、レッグヒールアライメント、Qアングル、アーチの落ち込み具合(左右比較)

2)柔軟性測定-足関節(底屈・背屈・内反・外反)

3)筋力測定-膝関節屈曲・伸展、足関節底屈・背屈・内反・外反

4)筋の硬度、張り具合(屈筋群・伸筋群・内反筋群・外反筋群)

5)疼痛、熱、腫れなどの所見

6)その他

○トレーニングプログラムの作成

以上の身体的評価のデータをもとにトレーニングプログラムを作成する。ここでは、痛みを指標として、立っているだけで痛む場合(重症時)、歩いて痛む場合、走ると痛む場合(ジャンプ時にも痛む)、ほとんど運動では痛みがなくなった場合の4段階に分ける。

ステップ1:立っているだけで痛む場合(重症時)

-トレーニングの目標-

・患部の炎症症状の軽減

・筋萎縮の解消

・足関節の柔軟性の確保

・全身の運動性の改善

・全身持久性の維持

1)患部へのホットパック、バイブラバス

2)全身持久性の運動

・プール内でのスイミング

・上肢エルゴメータ

なるべくオープンキネティックでの全身運動を行い、足関節の過度の底背屈に注意する。

3)マットトレーニング

・オープンキネティックでの全身の運動性の改善

4)足関節のストレッチング

・足関節の底屈・。背屈・内反・外反

5)足関節の可動性・筋力トレーニング

・足関節の底屈、背屈、内反、外反、内転、外転の運動を最初は、負荷を用いず自動運動で行い、次にチューブを用いた筋力トレーニングを行う、この段階での運動は、オープンキネティックで行う。

・タオルギャザー

6)アイシング

ステップ2:歩いて痛む場合

-トレーニングの目標-

・患部の炎症症状の軽減

・筋の安定性のトレーニング

・足関節の柔軟性の確保

・全身の運動性の改善

・全身持久性の改善

1)患部へのホットパック、バイブラバス

2)全身持久性の運動

・プール内でのスイミング、ランニング

・自転車エルゴメータ

・上肢エルゴメータ

なるべくオープンキネティックでの全身運動を行う。

3)マットトレーニング

オープンキネティックでの全身の運動性の改善

4)足関節のストレッチング

・足関節の底屈・背屈・内反・外反

5)足関節の筋力トレーニング

・チューブ・マシンなどを用いて、足関節の背屈、底屈、内反、外反、内転、外転の各筋をオープンキネティック、セミクローズキネティックで強化する。

・タオルギャザー

6)アイシング

7)テーピング、ソールウェッジを用いてのレッグヒールアライメントの改善を行い、日常生活を行う。

ステップ3:走って痛む・ジャンプして痛む場合

-トレーニングの目標-

・患部の炎症症状の軽減

・筋の安定性のトレーニング 

・筋の機能性のトレーニング

・足関節の柔軟性の確保

・全身の運動性の改善

・全身持久性の改善

1)患部へのホットパック、バイブラバス

2)アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎用のテーピングをする。踵にパッドを装着し、アキレス腱への負担を軽減させる。

3)全身持久性の運動

・自転車エルゴメータ

・トレッドミルでのウォーキング

オープンキネティックからクローズキネティックヘ全身運動を変えていく。

4)マットトレーニング

・オープンキネティックでの全身の運動性の改善

5)足関節のストレッチング

・足関節の底屈・背屈・内反・外反

6)足関節の筋力トレーニング

マシン、フリーウエイトなどを用いて、ヒールレイズ、ランジなどの方法で足関節の底屈、背屈の筋力の強化と安定性を高める。また、チューブを用いて内反、外反、内転、外転の筋を強化する。

7)バランスボードなどで足関節の安定性のトレーニングを行う。

8)専門種目特有の動作を徐々に組み入れていく。

9)アイシング

ステップ4:ほとんど痛みがなくなったら

-トレーニングの目標-

・筋の安定性のトレーニング

・筋の機能性のトレーニング

・筋のスピードのトレーニング

・全身のスピードの改善

・全身持久性の改善

・専門種目動作への適応

1)患部へのホットパック、バイブラバス

2)アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎用のテーピングを巻く

3)全身持久性の運動

・トレッドミルでのランニング

・グランド、体育館、芝(不整地でなく、堅くないサーフェスで)でのランニング

4)マットトレーニング

・オープンキネティックでの全身の運動性の改善

5)足関節のストレッチング

・足関節の底屈・背屈・内反・外反

6)足関節の筋力トレーニング

マシン、フリーウエイトなどを用いて、ヒールレイズ、ランジなどの方法で足関節の底屈、背屈の筋力の強化と安定性を高める。ここでは、負荷をかなり高くする。また、チューブを用いて内反、外反、内転、外転の筋を強化する。

7)バランスボードなどで足関節の安定性のトレーニングを行う。

8)各種ステップ、ジャンプトレーニング。

9)専門種日特有の動作を徐々に組み入れていく。

10)アイシング

まとめ

アキレス腱の損傷が見られたら、まずは病院で医者の診断を受けましょう。その後整形外科、病院でリハビリを行います。整骨院への通院も可能です。

1か所のみへの通院よりも、整形外科+整骨院がお勧めです。やはり、施術内容も違いますのでセカンドオピニオンとしても、併用される方も多いです。

後遺症が残りやすいのが、アキレス腱です。しっかりとした施術、治療を早期から行いましょう!

アキレス腱の断裂、踵の痛みは山梨県甲府市にある整体院・整骨院信玄へご相談下さい。

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