過労性脛部痛(シンスプリント)でお困りですか?学生の方(スポーツ選手)に多いこの悩み。成長痛だから仕方ない?何が原因なの?
私も、学生時代サッカーをしていた際に悩まされたシンスプリント。。。
このページでは、シンスプリントをしっかり理解し、適切な施術・対処法を行ってもらいたいため、簡単にまとめました。(難しい言葉は、なんとなくでいいので読み進めてみましょう!)
簡単にまとめると・・・
シンスプリント(shin splints)は、整形外科用語によると『過労性脛部痛』であり、広義には前脛骨筋部の疼痛も含まれることもあるが、ここでは脛骨後内側、主に中1/3~下1/3へかけての疼痛をさして述べる。練習を始めたばかりの時期、ランナーに多く、オーバ-ユースと硬い路面が関係していると思われる。脛骨が筋肉の腱に付着部で引っ張られ、脛骨の表面の骨膜が炎症を起こす疾患です。原因となる筋肉には、後脛骨筋・ヒラメ筋・長母趾屈筋などがあります。
それでは、詳しく説明していこう!↓↓
シンスプリントとは
1、 疾患の概念(機能解剖、発生機序)
過労性骨膜炎(シンスプリント)という名称はランニングなどの繰り返しや、足関節の底背屈運動を強力に繰り返したときに生じる、下腿の疼痛を主症状とする症候群に対して用いられている。下腿の筋・腱の炎症性障害として定義され、疲労性骨折とは区別される。過労性骨膜炎の発生メカニズムは、前脛骨筋の過収縮によって生じる前方シンスプリントと足部の過回内によるヒラメ筋や後脛骨筋の過伸張によって生じる後方シンスプリントに分類される。後者の後方型が最も典型的で、下腿の前内側中下1/3の部分に疼痛が起こる。
なぜシンスプリントになるの?2つの要因とは
身体的要因(カラダに原因あり)
過回内足、偏平足などアライメント不良、足関節の可動域制限(背屈)、下腿三頭筋の伸張性不足(疲労を含む)、足部での衝撃緩衝能の不足(凹足、足部の疲労)、筋力不足。
環境的要因(環境に原因あり)
シューズ、サーフェス、トラックのコーナー走、ロードの片側を走る(傾斜による)、トレーニング要因:量、頻度・強度が高い。フットワーク、フォーム(toe out,knee in)
2、 検査・診断方法
脛骨の疲労骨折との鑑別診断が問題となるが、疲労骨折では疼痛・圧痛が局在する傾向があるのに対して、本症では脛骨の内側後縁に沿って5~10cmの広がりをもつ。また疲労骨折にみられるような仮骨形成を示さないが、慢性例や反復例では脛骨内側縁の骨皮質の肥厚を示すことがある。画像診断で鑑別を行おうとするとMRIがもっとも有用と思われる。しかし両者は必ずしも分離できず同時に発生することがある。
3、 症状
1、前脛骨筋の過収縮によって疼痛が生じる:下腿の前外側中下1/3に5~10cmの広がりをもつ疼痛
2、足部の過回内によるヒラメ筋や後脛骨筋の過伸張によって疼痛が生じる:下腿の前内側中下1/3に脛骨の内側後縁に沿って5~10cmの広がりをもつ疼痛
4、 一般的な治療法を紹介
治療は急性期の安静とリハビリテーションによる保存療法が一般的であるが、難治例に対して手術が行われることもある。
筋・筋膜による牽引の結果微細損傷を反復し変性した筋膜・骨膜移行部を切離する方法がとられ、比較的小さな侵襲であるため難治例には試みてよいと考えている。
手術後は筋膜切離部の疼痛が消失するまで安静とし、腓腹部の筋群の圧迫固定をしながら前述の保存療法のリハビリテーションプログラムに従って進めることでとくに問題はない。
身近な整体・整骨がお勧め
前脛骨筋の過収縮によって生じる前方シンスプリントと足部の過回内によるヒラメ筋や後脛骨筋の過伸張によって生じている場合は、しっかり緩めよう!その際は、病院もいいが、整体・整骨院がほぐしたり、伸ばしたりするにはお勧めだ。
ここは大事!運動・リハビリのポイント
ランニングを含むトレーニング中にシンスプリントによると思われる下腿内側部の疼痛が出現した場合にはトレーニングを中止し疼痛部のアイシングを行う。
これとは別に下腿内側後面の筋群-ヒラメ筋、長趾屈筋、後脛骨筋など-のストレッチングやマッサージを行う。局所の炎症が鎮静化した後に、筋・筋膜の緊張による牽引刺激を軽減する目的で下腿を弾力包帯やサポーターで圧迫固定しておく。
安静期のトレーニングは足関節周囲の可動性や筋力の改善、強い着地衝撃や回内の加わらない水泳や自転車エルゴメータなどから開始し、徐々に歩行、ジョギング、ランニングへと移行させるが、並行して発生要因となるマルアライメントや着地パターンの問題点の補正も行っていく。
トレーニング・リハビリ
Ⅰ、安静時のトレーニング
この時期のトレーニングの目標は患部の炎症を軽減させることと、ヒラメ筋・長趾屈筋・後脛骨筋など下腿内側後面の筋群の緊張(スパズム)や腫脹を低下させることである。
炎症の軽減に対しては頻回のアイシングの励行で対処する。筋のスパズムや腫脹を低下させる目的で温熱療法(ホットパックや超音波、マイクロ波)が用いられる。マッサージや鍼の使用も有効と考えられる。(※↓写真は一例です。専門的なストレッチは整体院信玄へご来院下さい)
下腿三頭筋、とくにヒラメ筋のストレッチングは温熱療法後に十分に行う。
足関節周囲筋の筋力強化は患部の疼痛が発生しない範囲でゆるやかな等尺性訓練から開始し、徐々に等張性訓練へと進めていく。
なお、歩行に際して患部の疼痛が明らかな場合には足底版やテーピングを用いて踵部の挙上、内側縦アーチの保持を行う。
(※↓テーピング写真は一例です。直接の来院をお願いします)
Ⅱ、リハビリテーション室での回復期のトレーニング
足関節周囲の柔軟性・筋力バランスの改善や正しい動きの再獲得を目的として局所の炎症の再燃が生じない範囲でトレーニングを計画する。
実際の大まかな訓練内容を。局所のウォーミング・アップとしてホットパックを利用して患部を温めた後にストレッチングを行い、その後持久性訓練、心肺機能の訓練を兼ねて全身的なウォーミング・アップを自転車エルゴメータやウォーキングなどにより行う。
筋力トレーニングとしてレッグプレスやスクワットは下肢全体の大きな抗重力筋の維持強化に重要である。下腿三頭筋の強化にはカーフレイズやゴムチューブを用いた足関節底屈の抵抗訓練を行う。また足関節周囲筋群のバランスを考えた強化訓練も進めていく。足関節の内反・外反、底屈・背屈に加えて足部の内在筋の強化も合わせて行う。後者の目的ではタオルギャザーや足趾の開大訓練が用いられる。
足関節・足部の可動性として底・背屈、内・外反、回内・回外のアンバランスがあればこれを是正するためにモビライゼーションを行う。背屈の制限は離地の際の回内・外反を誘発し下腿後内側の筋群の緊張を高めてしまうため改善が必要である。
フットワークや下肢全体の協調的な動きの再獲得のためにスクワットを利用する事は重要である。スクワットでは膝外反(knee in-toe out)とならないように足部のセットの仕方に注意するとともに、足部での荷重のシフトにより患部の疼痛の変化を自覚させるようにする。さらにtoe-outで回内位にならないようにフットワークを意識し、爪先を進行方向に向けて直線上を歩行する訓練も行う。
クーリング・ダウン後、患部のアイシングを十分に行わせ、弾力包帯やサポーターで下腿を保護する。
Ⅲ、スポーツ現場での復帰までのトレーニング
この時期のトレーニングの目的は種目動作の再学習と再発予防のための強化訓練である。
ウォーミング・アップには回復期のトレーニングと同様に十分な時間をかけるのが望ましい。動作の再学習としてジャンプと着地・横への動き-サイドステップやクロスステップなど各種のステップ動作、コーンドリルなどを練習させる。その際、着地に注意を払わせ、できる限り望ましいパターンでの動きを身につけさせるようにする。足関節周囲筋群の筋力トレーニングは回復期に引き続き補強訓練として励行させる。
シンスプリントの発生要因として上記のような各種の要因が考えられるが、このうちとくに身体要因についての対策を講じておくことは再発予防上非常に重要である。
鳥居俊らは以前、陸上競技選手のシンスプリント発生例では過回内が存在することを報告した。その他、足部の衝撃緩衝能の低い例も少なくない。前者に対しては足底板やテーピングを用いて回内の調整を施し、アーチ保持のための筋群のトレーニングを行わせる。後者に対しては足関節・距骨下関節・中足足根関節など衝撃緩衝に関わる関節の可動性を高めるための手技を用いる。また陸上競技選手がトラックでのランニングを行う場合は同じ向きばかりで走らず逆周りでも走ること、道路を走るときは片側ばかりでなく逆側も走る-行きに左側を走ったら帰りは右側を走る-こと、もコーナーや道路の傾斜によるストレスを集中させないために必要な注意事項である。
【参考文献】
臨床スポーツ医学:スポーツ外傷・障害の理学診断・理学療法ガイド
Vol.18 臨時増刊号2001年12月10日発行
発行人:浅井宏祐 発行所:株式会社 文光堂
整形外科理学療法の理論と技術
2002年4月1日 第9刷発行
編集:山嵜勉 発行者:中尾俊治 発行所:株式会社メジカルビュ
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